本研究の目的は、戸外で遊ぶことが減った子どもの遊び環境を見直し、特に積雪寒冷地の外遊びを促す環境整備の知見を保育や教育の関係者・環境の計画者そして子どもとその保護者が共有する方策として、パタンランゲージの活用を含めて研究することである。本年度は、これまでアンケート調査やフィールドワークで蓄積してきた知見をイラストレーションとして表現し、分かり易い階層構成でホームページに組み込む方法を中心に研究した。また追加調査として、初年度に東日本大震災の影響で延期した東北地方や新潟県などの多雪地のフィールド調査を行ない、可能な限り研究成果に組み入れた。開発したホームページは2012年12月に試験的に公開し、利用者評価による調整を経て、年度末に「こども環境デザインふぉーらむ@snowland」(http://kodomo-snowland.net)としてリリースした。 コミュニケーションツールとしてホームページを有効に機能させる目的で、C.アレグザンダーのパタンランゲージにおける子ども環境の扱い方の構造を分析する作業も並行して行い、参照した。また知見共有を図るだけではなく、双方向的で持続可能な方法とする仕組みをホームページに組み込むと共に、それと連動するリーフレット「外あそブック」を制作した。それはホームページの直観的な操作の説明書式であると共に、保育や教育関係者・子どもや保護者からの有益な知見をフィードバックする機能を有している。 本研究の意義は、多くの市民の方々に研究成果が還元されることで高められる。様々なアイデアのパタンを繋ぎ合わせて良好な環境形成を目指すパタンランゲージをベースとした今回の方法論は、子どもを含む多様な意見を組み入れる環境デザインの仕掛けとしても意義が大きい。また環境の計画者がハードとソフトの両面から子どもの遊び環境の重要性を認識することに寄与すると期待される。
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