研究課題/領域番号 |
22610024
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研究機関 | 姫路獨協大学 |
研究代表者 |
杉岡 幸三 姫路獨協大学, 薬学部, 教授 (90112127)
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研究分担者 |
高瀬 堅吉 姫路獨協大学, 薬学部, 講師 (80381474)
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キーワード | 注意欠陥多動性障害 / ADHDモデルラット / 活動性 / プレパルス抑制 / 恐怖条件付け / メチルアゾキシメタノール / 海馬 / 大脳皮質 |
研究概要 |
本研究は、学習、注意また活動性などの機能に深く関与する海馬、および海馬と密接な線維連絡を有する脳部位の機能不全に焦点をしぼり、ラット胎生15もしくは17目齢(それぞれM15群、M17群)に、神経毒性を有するメチルアゾキシメタノール(MAM)を投与することによって、脳の発生学的形態異常を有するADHDモデル動物を作成し、これらの動物に対して、新生児期から成体期に至る様々な時期に、種々の実験パラメーターを用いた多面的行動分析を行うとともに脳の組織学的分析を行ったものである。行動学的には、1)新生児期に分析した正向反射・背地走性では、M17群の反射獲得の遅延傾向が観察された、2)離乳期でのOF事態での活動性の分析では、M15群がhypoactive、M17群がhyperactiveな傾向を示し、若齢期に測定した飼育環境事態では、両群ともhypoactiveな傾向を示した、3)若齢期後期の、聴覚性驚愕反射を指標としたプレパルス抑制の分析では、両群とも聴覚性驚愕反射の抑制度は低かった、また4)成体期に、恐怖条件付け後の、装置に対する文脈記憶を凍結行動を指標として分析したところ、両群とも凍結行動表出時間は短かった。脳重に関してM15群では重度の、M17群では軽度の小頭(脳)症を示すとともに、脳の組織学的分析では、1)M15群では皮質の層構築異常および海馬錐体細胞層の断裂および異所性の細胞集塊が観察され、2)M17群では数例において線条体に変性細胞が観察された。以上のことから、本研究の行動学的結果のいくつかがADHD児で観察される注意欠陥・活動性の異常と類似するとともに、これらの行動異常が脳の皮質、海馬もしくは線条体の発生学的形態異常と関係する可能性を示唆するものである。次年度において、本年度と同様な研究計画のもとで、さらに例数を重ねて分析する所存である。
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