研究課題/領域番号 |
22611012
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐々木 雅之 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40240907)
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研究分担者 |
平田 秀紀 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70173242)
藪内 英剛 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (70380623)
有村 秀孝 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (20287353)
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キーワード | PET / time of flight / 分子イメージング / 放射線治療計画 |
研究概要 |
今年度は放射線治療計画にPET画像のTOF(time of flight)補正を使用することの優位性を検討するために、臨床条件を考慮したPET画像の検討をファントムを用いて行った。 ・まず放射能濃度比が腫瘍の検出能に与える影響を検討した。TOF-PET/CT装置とBodyファントムを用い、腫瘍を模した6個の球(径10~37mm)にはSB比8,4,2,1.25のF-正8溶液を封入した。画像再構成はOSEM法にTOF補正、空間分解能PSF補正を組み合わせた。画質はPSF補正とTOF補正にてノイズが低下した。SB比4、8では全ての球が描出されたが、SB比2では13mm球、SB比1.25では28mm球がTOF補正でのみ描出できた。以上より、PSF補正・TOF補正は腫瘍の検出に優れており、TOF補正は径13、17mm球において効果が大きいと考えられた。 ・次に、体格の大きな症例を想定した検討のために大口径ファントムを作成した。外径40cmで腹囲126cmを想定し、中にBodyファントムを装填できる。外槽・内槽に2.65kBq/mL、Bodyファントムに3倍、球ファントムに12倍のF-18溶液を封入した。TOF方式PET/CT装置にてデータ収集し、通常の逐次近似法OSEMを基本にTOF補正、空間分解能PSF補正を組み合わせた。大口径ファントムのノイズはBodyファントムの約2倍であった。大口径ファントムでは10分間収集にてもCV10%を超えたが、TOF補正、PSF補正ではBodyファントムの約4倍の収集時間で同レベルのCV(10%)を得ることができた。また、大口径ファントムではTOF補正にてコントラストが高く、収束に達する時間が早くなった。以上の結果より、TOF補正は大きな体格の症例のノイズ、コントラストを改善できると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CTおよびPET画像を利用して腫瘍の輪郭抽出を行うためのソフトウエアのプログラミングが遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
まず、PET画像よりTOFやPSFの有無などの種々の条件の違いに応じた腫瘍範囲の抽出を行うための新たな画像処理プログラムの開発を促進させる。このために、PETのみならずCT画像も合わせて活用する手法を検討する。ファントムデータおよびこれまでに根治的放射線治療を実施し症例について、呼吸性移動のない画像を対象として抽出する工夫を行う。
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