研究課題/領域番号 |
22611015
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
伊藤 敦 東海大学, 工学部, 教授 (80193473)
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研究分担者 |
石井 直明 東海大学, 医学部, 教授 (60096196)
平山 亮一 独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, 研究員 (90435701)
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キーワード | 重粒子 / DNA酸化損傷 / 蛍光抗体法 / 8-OHdG / 酸素効果 / トラック構造 |
研究概要 |
8-OHdG生成の可視化方法の検討 本年度は主に動物(マウス)組織での免疫染色による8-OHdG検出方法を確立するとともに、マウス組織を網羅的にサーベイし、8-OHdGの臓器による生成量の違い、8-OHdG観察に適した臓器の選択を目的とした。対象臓器は、脳、眼球、心臓、胃、十二指腸、肝臓、腎臓、精巣とした。マウスは照射後すぐに安楽死させ、8-OHdGの修復を防ぐために氷冷した。8-OHdGの染色スポットを血管から区別して観察しやすくするため灌流を行った後、各臓器を摘出し、パラホルムアルデヒドで固定後、切片を作成した。照射は、(独)放射線医学総合研究所重粒子がん治療装置(HIMAC)を用いて、シリコンイオン、ネオンイオン、鉄イオンの照射を行った。すべての臓器において、照射後有意な8-OHdGの増加が確認されたが、8-OHdG抗体染色細胞が同定しやすい臓器として、脳、心臓、眼球(角膜)が挙げられた。いずれの臓器でも細胞質と比べて核がコントラスト高く染色され、培養細胞に比べて免疫染色法を適用しやすい印象であった。シリコンとネオン照射の脳組織試料において、定量化のために8-OHdG抗体染色が見られた細胞を顕微鏡下でカウントした。まだ予備的ではあるが、線量に依存して8-OHdGスポットが増加すること、ネオンよりシリコンでの8-OHdG生成が多いことが判明した。この結果は、シリコンの方が低LET領域が広くそのため8-OHdG生成量が多いと解釈される。 DNAフィルムでの免疫染色法の適用に関しては、まず方法の開発を行った。仔牛胸腺DNA溶液をブロッティング膜に滴下し、UVクロスリンカーによって膜に固定させた。この試料を重粒子線照射後、蛍光抗体処理を行った。8-OHdGの生成は確認できたが、分布の同定までには至らなかった。23年度はさらに条件の最適化を図る予定である。
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