核医学における革新的分子イメージング技術としての複数分子同時イメージング法の確立に寄与することを目指し、半導体コンプトンカメラを用いたγ線撮像に関する諸性能を評価し、臨床応用を目指した撮像技術の確立、および新たな核医学撮像装置としての既存の手法に対する位置づけを明確にすることを目的とすして研究を行った。研究代表者らが現在開発を進めている半導体コンプトンカメラを、さらに臨床実用装置として検討するためには、必要な撮像視野内のトレーサー分布を現実的な条件で画像化することが可能な撮像技術を確立し、その利点と欠点を明確にしておくことが重要である。そこで本研究課題では、現在のプロトタイプ及び高度化達成後の性能を考慮した、臨床用装置としての撮像条件の確立を目指し、半導体コンプトンカメラによる複数分子同時イメージングで特に考慮しなければならない諸性能について検討した。 モンテカルロシミュレーションの手法を用いた検討により、2台の平板型の撮像ヘッドで被検体を挟むように配置した、対向型の撮像システムを用いることで、撮像視野内の応答が均質化され、3次元断層撮像性能が格段に向上することが分かった。そこで、理化学研究所で構築した対向型半導体コンプトンカメラシステムを用いて、RIファントムを用いた撮像実験を行った。その結果、対向型の配置による投影方向および撮像感度の増加により3次元断層画像の撮像性能が向上することを実証した。また、従来よりも広いエネルギー範囲のγ線放出核種を利用することが可能になることによる被曝量の増大の有無に関し、定量的な検討を行った。
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