ガンマ線レンズを用いた医療用イメージング装置高度化のための基礎研究として、平成24年度は、医療用イメージング装置へのガンマ線レンズの具体的な応用方法を考案し、シミュレーションにより、その装置の具体的なデザインと性能の検証を行った。現在の医療用イメージングにおいて未だ実現していない、望まれるものの一つとして、生きたままの生体深部のプローブ分布を非侵襲的にミクロなスケールで可視化する装置がある。現在ミクロなスケールでのプローブ分布を可視化する装置として蛍光イメージングなどがあるが、蛍光波長の光の物質透過力が小さいため、生体表面でのイメージングのみが可能であり、非侵襲的には深部のイメージングは困難である。生体深部のイメージングを実現するためには、透過力の高いガンマ線プローブを用いる事が有効であると考えられるが、ガンマ線のエネルギーが高くなるとガンマ線のレンズ素材での屈折率が小さくなるため焦点距離が長くなり、巨大な装置を必要とする。したがって、低エネルギーのガンマ線(数10~200 keV程度)を放出するプローブをイメージングの対象とするのが妥当である。そこで、100 keVのガンマ線に対してのシミュレーションを行い、現在一般的に利用されている2 mmの位置分解能を有するガンマ線検出器の前方にガンマ線レンズを配置することにより、イメージング対象の深さ100 mmの場所において、サブミリオーダーのイメージングが実現可能であることを示した。
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