Japanese Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative(J-ADNI)で重要な役割を担うPET計測は、近年、三次元(3D)収集が主流となり、大幅な感度の上昇がもたらされた。その一方で3D収集は、頭部測定において二次元(2D)測定では殆ど問題にならなかった視野外からの放射線の影響が無視できなくなった。視野外からの放射線がPET装置に及ぼす影響は様々であり、同じ被写体を測定した場合でも、得られるデータ(画像)が装置によって異なることが知られている。同じ被写体はどのPET装置で撮像されても同じ画像が得られるのが理想である。この装置間の差を補正するためには、実際の臨床に近い条件で再現性の良いファントム実験を行う必要がある。今年度は、PET装置間差の詳細なデータを得るために、直径15cmの円筒型ファントム及び人の脳に似た構造を持つ立体ファントム(モレキュラーイメージングラボ社製)を用いて6施設で9台のPET装置を使って基礎実験を行った。円筒型ファントムの画像上に設定した関心領域(ROI)の値に対して統計解析ソフトウェアを用いて検定を行い、装置間差を客観的な指標で評価した。立体ファントムを用いた実験で得られた各装置のデータは、画像演算によって比較し脳の部位によって生じる差のデータを得た。また、一部の装置については、新しい不感時間補正法(dead time correction)を適用して従来の方法と比較し、定量生の改善効果を確認した。
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