複数の施設の異なるPET装置で測定された脳FDG-PET画像およびアミロイドPET画像の機種依存性を、ファントム実験によって明らかにした。 実験はJ-ADNIで計測するFDG画像(高濃度)とPiB後期画像(低濃度)の条件を想定して実施した。視野内および体幹部ファントムに封入する放射能量とファントム間の距離は、それぞれFDG投与後30~60分とPiB測定開始後50~70分の臨床計測データの総同時計数と偶発同時計数および両者の比が同等になるように決定した。エミッション測定および減弱補正用CTまたはトランスミッション測定の条件はJ-ADNIに準じた。視野外からの放射能の影響を調べるために、体幹部ファントムを除いた状態で同じ条件で測定した。散乱補正および画像再構成はJ-ADNIで採用された方法を用い、ファントムに封入した放射能量と容積からStandardized Uptake Value (SUV)を求めた。体軸方向の変化を見るために各スライスの再構成画像視野中心に直径12 cmの円形の関心領域(ROI)を設定した。脳内の放射能分布を評価するために3D脳ファントムの CT画像から疑似PET画像を作成し、基準PET画像とした。各PET装置で得られたファントム画像および基準PET画像から標準位置画像を作成し、脳内局所の相対的な分布変化を評価するために、全脳で最大画素値の10 %以上の値を持つ画素の平均値を求め、その値を100として正規化した。更に、平滑化した正規化画像から、基準PET画像を減算し差分画像(誤差画像)を作成した。 本研究のファントム実験を行った施設はJ-ADNI参加施設であり、一定の品質管理基準を満たしているが、計測された定量値が理論値と10%以上異なる、視野外の放射能によって軸方向の均一性が劣化する、再構成後の対象の大きさが実物と異なる可能性があるなどの問題が散見された。
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