C. cellulovoransの培養条件や培地上清からのセルロソームの回収条件など、プロテオーム解析を行う上でのサンプル調製条件を決定した。京都大学の研究グループの協力で、回収したセルロソームを酵素消化により断片化し、LC-MS/MSで分離同定を行った。基本多糖類に対するセルロソームの解析を行ったところ、基質に応じたセルロソーム構成タンパク質の変化を検出することができた。さらに様々な多糖類、ソフトバイオマスに対して培養し、培地上清中のセルロソーマルタンパク質、およびノンセルロソーマルタンパク質について炭素源間での比較定量解析を行った。その結果、各炭素源間で変化せず一定量存在するもの、基質特異的に変化するものを同定することができた。 デザイナブルセルロソームの基盤研究として、新規足場タンパク質であるCbpBはセルロソーマルな酵素の一つであるManAと相互作用しており、セルロソームを形成することを明らかにした。さらに、CbpBが持つ1個のコヘシンをCbpAの9つのコヘシンと組み替えることで、CbpBをベースとしたCbpAのコヘシンとセルロソーマルな酵素との1対1の定量的な相互作用解析を行った。それらの親和力を比較することでCbpAのコヘシンが、セルロソーマル酵素との間で結合様式(並び方)に違いがあるのか、という疑問の解明へとつながると考えられる。そこでCbpBのコヘシンとCbpAのN末端側に存在するコヘシン1を置換した組換え体の足場タンパク質を構築し、セルロソーマルな酵素であるManAとの相互作用解析を定量的に行った。その結果、コヘシン間で親和力の違いを確認した。この結果からCbpAのコヘシンが、セルロソーマル酵素との間で結合様式(並び方)に違いがあることが推定された。
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