本研究では、バイオ燃料生産に起因する土地利用変化が及ぼす影響について、環境面および経済面から解明し、世界のバイオ燃料政策に有益な政策提言を導くことを目的としている。22年度においては、課題1である世界的なバイオ燃料生産に起因する直接的・間接的土地利用変化が及ぼす環境・経済的影響について、実地調査、文献サーベイならびにメタ分析によりその傾向を把握した。特に、米国、ブラジルにおける政府関係機関、研究機関等において調査を実施することにより、各国におけるバイオ燃料生産拡大が、農地利用変化に与える直接的・間接的影響試算の手法や必要なデータを入手した。 また、課題2としては、世界のバイオ燃料生産が、将来的な世界の直接的土地利用変化、間接的土地利用に与える影響予測やこれが世界の農産物需給・貿易に与える影響予測を行うための部分均衡需給予測モデルの開発を行うべく、米国およびブラジルを中心に必要なデータを入手することにより、モデル開発の準備を行った。 さらに、課題3としては、文献レビューや実地調査などを通じて、バイオ燃料生産に起因する土地利用変化が及ぼす影響に関して、分析対象となりうる影響カテゴリーを決定し、データ収集を開始した。また、既存研究サーベイから、土地利用変化発生の誘因と考えられる単位面積当たりの収益は、他の燃料価格などの影響も受けるため、これらの不確実性の影響も含めて評価する研究が有効である点が示唆された。
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