目的1: 従来の非侵襲的脳機能計測法では不可能であった、神経軸索の活動を可視化する。 シーメンス社が提供しているプログラミングシステムを利用し、実用PGCイメージングシステム(MR撮像シーケンスと画像再構成)を完成した。実験時にMRI画像の歪みの新たな原因が発見した。この歪みの修正方法の論文は、IEEE Trans.on Magneticsに掲載された。また、脳の立体構造に由来してf MRI信号が減衰してしまうが、この回復方法を考案し、現在国際ジャーナルに投稿中である。 PGCイメージングシステムを実用化するため、ヒト脳白質での神経細胞の軸索の活動、特に脳梁での活動を詳細に検討した。両手・片手でのタッピング実験と言語の視覚刺激(左・右視野)実験により、脳梁での活動をPGC信号の変化として確認できた。同時に、提案しているPGC信号の弱点も発見できた。従来のf MRI信号と違って、一回の撮像では一つの方向のPGC信号しか得られないので、実用化するには多方性の撮像方法の開発が必要となる。この開発も計画している。 目的2: 新規に考案した磁気共鳴イメージング法で検出できる神経細胞、特に軸索活動の生理学的メカニズムを解明する。 小動物(ラット)を用いた実験により、神経活動に伴う温度の変化の特性がわかった。1)温度の変化幅は0.01~0.06℃であった。2)温度変化は通常のf MRI信号とPGC信号の変化より遅い。この結果から、PGC信号の生理学的ソースは温度の変化ではないことがわかった。また、水分子の拡散効果の変化の影響も検証したが、PGC信号の関連性が認められなかった。
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