目的1:従来の非侵襲的脳機能計測法では不可能であった、神経軸索の活動を可視化する。 神経軸索(線維)の活動を可視化するための新しいMRI計測方法を実現する撮像シーケンスを完成した。また、この新規方法の実用性を高めるために、信号源と思われる神経線維の振動もしくは組織の変形の周期的に変化することが分かった。神経軸索活動の生理学的メカニズムの解明を目指すため、multi-echo撮像で時間分解能をミリ秒単位に可能にした。一回の撮像が一つの周波数情報を得って、複数回の撮像で、画像を作れる。echo timeの違う通常のMRI画像が直接比較できないが、新撮像法は緩和時間の影響を受けないから、echo timeの違う画像が直接比較することにより、刺激からミリ秒単位での脳活動を観測することができると考えられる。MRスキャン音を聴覚刺激として使う実験を行った結果、刺激から数十ミリ秒でのMRレスポンス確認できた。再現性などの問題まだありますが、従来のfMRI方法より早い段階でのMRI信号変化を観察する可能性が見えてきた。 目的2:新規に考案した磁気共鳴イメージング法で検出できる神経細胞、特に軸索活動の生理学的メカニズムを解明する。 ヒトで確認できてきた神経軸索活動の生理的基盤を確認するため、神経核間で情報の受け渡しを行っていると予想されていた軸索の活動の描出を、動物を用いて更に進めた。ラットを用いた実験により、扁桃体基底外側部から出力される軸索の活動の可視化を試み、複数の神経核に繋がる軸索の活動を可視化する事ができた(投稿中)。まだ脳の限られた領域ではあるが、動物実験では、活動する神経軸索の描出が可能になったと考えられる。また、磁気共鳴法による機能計測では、高感度化・高選択性が重要であり、機能計測のための新たなプローブを考案し特許申請した。
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