本研究の初年度に当たる平成22年度においては、ドイツ連邦共和国の地方都市に住む青少年を対象に、多機能型小型メディアの普及とその利用状況の調査、ならびに文化的背景を異にする人々へのインターネット等を利用した排斥活動の実情とその対策の現状把握を中心に研究を行った。即ち、 1)ドイツ連邦共和国の小村リーベナウにおいて15歳の男女30名を対象とした、携帯型多機能メディア機器の普及・利用状況に関する予備的なアンケートと聞き取り調査を実施した。アンケートおいては、その普及度や利用目的、頻度、危険な体験等を尋ねた。その結果、携帯型通信メディア機器はドイツの地方都市の青少年にも普及し、それが大都市との間の文化格差を縮小し、多くの利便性を与えているとともに、過度な商品宣伝や不快・危険な情報をも与え、小村に住む青少年を多くの社会的問題に巻き込む危険性を高めていることが明らかになった。また、多機能型携帯電話の普及ば、ドイツの地方小都市においてもコミュニケーション手段や相手に変化をもたらしただけではなく、日々の生活における時間配分、出費配分等にも大きな変化をもたらしていることが明らかになった。 2)ドイツ連邦共和国青少年有害メディア審査機関を訪問し、副所長ペトラ・マイヤー氏にインタービューを行った。その中では、有害メディアからの青少年保護を強化するために検討されている法整備計画や、とりわけインターネット、コンビューターゲーム、DVDによって発信されている、反社会的なコンテンツを伴うメディアに関する現状とその対策の難しさに関して問うた。
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