1. 研究の目的:EU加盟国の拡大や、グローバル化した国際状況の中で、現在のドイツには多くの外国人が暮らしている。その大部分が合法的に生活や活動を行っているにもかかわらず、高失業率などの経済的な要因や文化的な偏見等を背景として、ドイツ国内には外国人や女性・高齢者・障害者など社会的弱者へ攻撃を全面に出した活動が存在し、大きな問題となっている。本研究においては、異文化接触や社会的弱者との関係性に関わるこうした問題について、現代ドイツの青少年とメディアとの関わりからその実情を把握し、危険性や問題を研究したものである。 2. 平成24年度においては、インターネットやCD・DVDなど、危険性・問題性を含んだメディアコンテンツを実際に閲覧・試聴し、また専門書、論文等を分析し、その状況と問題点を確認した。また9月下旬にドイツを訪れて調査を実施した。まず、ドイツ連邦共和国青少年有害メディア審査機関の年次総会(リューベック)に出席し、ドイツにおける青少年有害メディアの実情とそれに対する対策等に関して調査した。その後ノイエンガメ強制収容所資料館、ビーレフェルト大学、歴史博物館(ボン)を訪れ、20世紀以降のドイツにおける民族的、文化的差異等の理由で社会から排除された人々に関する資料を収集し、分析した。 3.茨城県、長野県において高校生を対象とした講演会を実施し(8月、9月)、研究成果の一部を公開・還元した。また過年度において実施したアンケートの集計と分析、ドイツにおける移民子弟に対する教育の研究、有色人種や外国人、社会的弱者に対するインターネットやCD等を利用したHassrede(hatespeach)の問題に関してこれまでの研究をまとめた。これらは平成25年度以降に順次関連専門誌や紀要等で公表していく予定である。
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