本研究の目的は格差是正、異文化共生のための教育として有効とされる国際教育、国際理解教育、異文化間コミュニケーション教育の普及策を探ることである。大学の教員養成課程でこれを専攻した教員が、教育現場でいかに教育実践に役立てているか、いないかを調査することを通して、異文化間コミュニケーション教育等異文化強制のための教育の可能性と、実践を推進するための方策について調査する。 平成22年度には、主にイギリス(イングランド)の教員養成大学のうち、これと同様内容の教員養成を行なっていると思われる大学を様々な方法で調査し、抽出した。その上でそのうち数箇所を訪問し、インターネットでは公開されていないカリキュラムの詳細を調べると共に大学の授業観察や主担当の教授にインタビューを行なった。その調査を通して異文化共生につながる教育を多く行なっている大学を見極め、研究への参加を依頼し、平成23年度に行なう研究の打ち合わせを行った。イングランドでは市民性教育(シティズンシップ・エデュケーション)の中でグローバルな問題を扱うことが多いこと、その中心的役割を果たしているのがE大学の教育学部のH准教授であることが分かった。E大学とその卒業生の教員からの調査協力の同意を得ることができた他、H准教授を介したスノーボールサンプリングを通して他の複数の大学にも協力依頼が可能になった。今後は日英の協力大学とともに教職にある卒業生を選定し、上記課題に沿って授業観察やインタビュー調査を実行する。
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