国際理解教育(イギリスではグローバル市民教育との呼称が多く用いられる)を教員養成課程で専攻し、その後小中学校の学校教員となった者たちが、教育現場でどのようにその教育内容を実践しているか、あるいは実践しにくい問題があるかを見極めるために調査した。調査方法は面接、聞き取り調査であった。日本とイギリスで7つの教員養成大学担当教員から協力を得、それらの教員と各大学の教員養成課程を経て小中学校を中心とした教員として活躍している方々から聞き取り調査を行った。面接調査から浮かび上がってきたのは以下のような内容であった。(1)国の教育行政の変化に影響を受けやすいこと、(2)主要科目の担当に時間を取られやすく、国際理解教育を行いたくても行えない現状が多くみられること、(3)積極的に実施している教員には以下の特徴があること:a)大学からの指導教員が卒業後もボランティアやNPO組織を作って学外で研修を定期的に行ったり教員間の学びの場を提供している場合、b)偶然に赴任校がそのような教育の推進校になっている場合。これらの特別の機械やサポートがないと教育内容として周囲から重視されず、実践がなされにくいという実態が浮かび上がってきた。
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