本研究は、近年、日本で増加しつつあるワーキングプアや就職困難者(=社会的に排除された人々)に対する支援として、<就労支援+生活支援+パーソナル・サポート>という組み合わせを提起し、その具体的展望を明らかにしようとするものである。 平成22年度は、その活動の具体的な取り組み実態を把握することとし、関西地区を中心にいくつかの先進事例の聞き取り調査を実施した。大阪府商工労働部雇用支援室、豊中市、吹田市、箕面市、京都府、滋賀県草津市、守山市、栗東市、野洲市である。また、社会的企業として、LLP大阪職業教育推進機構、LLPネクスト・ステージなどの聞き取り調査を実施した。これらの調査によって、自治体、そしてそれと連携した社会的企業による帆活的な就労に向けた支援の枠組みが明らかになるとともに、そこには各組織による創意工夫による独自の手法があることが明らかとなった。次年度は、さらにこういった事例研究を豊富化したい。 他方、この調査は、こうした支援策の先進国であるフランスを参照対象としている。このことから、フランスにおける包括的な就労支援の枠組みに関する資料収集と分析を進めた。特に、これまでの制度を大きく改革し2009年から開始された就労連帯所得(RSA)の制度と内容とその特徴の理解に努めた。次年度は、この実態調査を予定している。 また、社会的企業による社会的生活支援・就労支援に関して、韓国では2007年に社会的企業育成法が制定され、多くの実績を上げている。したがって、これらの活動も視野に入れておくことが重要と考え、補足的な調査を行った。 全体として、日本の先進事例の把握、および比較対処としてのフランスおよび韓国について、多くの知見を得ることができた。
|