研究課題/領域番号 |
22614004
|
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
福原 宏幸 大阪市立大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (20202286)
|
キーワード | 社会的排除 / 就労支援 / 貧困 / 雇用政策 / ワークフェア / アクティベーション / ワーキングプア / 就職困難者 |
研究概要 |
本研究は、現在の日本において深刻化しつつある貧困と社会的排除の問題について、とくに稼働能力を持つ人びとの社会的包摂に向けたアクティベーション施策を検討することにある。具体的には、(1)就職困難者・失業者を対象に、自治体や社会的企業による新たな支援に着目し、その有効性を分析することにある。また、(2)こうしたアクティベーションに取り組むヨーロッパ諸国のなかでもフランスに着目して、参考事例としてそれらを検討する。これら2つの視点を踏まえて、日本における社会的及び職業的なアクティベーションに向けた有効な施策を提案することにある。 2011年度は、内閣府・厚生労働省によって推進されているパーソナル・サポート・モデル事業に着目し、大阪府・豊中市・吹田市・箕面市などの取り組みを調査した。また、東日本大震災の被災地である岩手県と宮城県におけるパーソナル・サポート・モデル事業の実践についても調査を行った。 これらの調査を通して、いくつかの先進地域においては、個別的な寄り添い型の相談と地域のさまざまな社会資源を活用した支援策によって、社会参加に向けた、また就労に向けたアクティベーション施策が実施されていることがわかった。 今後は、こうした取り組みの国制度化や、セーフティネットの諸制度との整合性をはかるための施策などについて、分析をさらに深めていきたい。 また、フランス調査では、就労連帯所得(RSA)のもとでの社会参加と就労に向けたパーソナル・サポートのあり方について聞き取り調査を実施した。すでに1980年代からこの課題を追い続けてきたフランスからは、多くのことを学べるだろう。2012年度は、これらのデータの整理を進めていきたい。また、補足的な調査を実施し、報告書の作成を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先進自治体やNPOなどの民間団体によるアクティベーションの取り組みについては、多くの情報をえることができ、またそこから多くの示唆を得ることができた。しかし、政府によるアクティベーション施策についての調査研究がまだ十分に行われておらず、これからの課題である。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度であることから、これまでの研究で不足した部分を補い、また、報告書の作成に向け体系的な構想を志向しつつ、これまでに調査で得た情報をうまく交通整理したい。そこでは、日本におけるアクティベーション施策をどうとらえるのか、この点についてオリジナルな発想が求められる。 このような観点での研究を進めていきたい。また、不足している調査については、補足的な調査を2012年度には実施することとなる。さらに、研究会などでの報告を経て、多くの研究者からの示唆を得たいと考えている。
|