研究課題/領域番号 |
22614007
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
木部 尚志 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (10310327)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 福祉国家 / 多文化共生社会 / 移民政策 / 日本 / ドイツ |
研究概要 |
先進諸国の喫緊の課題である多文化共生社会における福祉国家の制度構想を研究することを目的とする本研究は、(a)日本とドイツを事例研究の対象として選び、(b)とくに社会保障と労働市場の連関という観点から社会への移民集団の包摂と排除のメカニズムに着目し、(c)日独の福祉国家制度の実態および特質を実証的に比較分析するとともに、(d)かかる特質の背景にある理念や原理を析出し比較することで、両国の共通性と相違点を明らかにして、多文化共生社会に求められる福祉国家の制度的理 念と組織原理を検討することを課題とする。 平成25年度は、本研究の研究計画の4つのステップ、すなわち(1)資料の収集と整理、(2)実態調査、(3)調査結果に基づく考察、(4)研究成果のまとめからのうち、(2)と(3)に取り組み、くわえて(4)の準備を課題としてきた。とりわけ(4)において顕著な進捗がみられた。具体的な実績として、2013年11月24日にドイツベルリンの日独センターで開催されたドイツ日本研究社会科学学会の国際コンファレンスで、日本の移民統合政策に関するペーパーを発表したこと、および2014年2月7日にドイツ日本研究所で開催された国際ワークショップで、日本における排外主義と移民統合の問題に関する発表をおこなったことが特筆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画の基本的な作業内容に即して研究を進めているため。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、以下の3つの作業に取り組む。 (1) 日独の資料収集を引き続きおこないながら、両国の移民政策、社会保障政策、労働市場政策の特質の把握に努める。とりわけ、社会保障と労働市場の連関という観点から社会への移民集団の包摂と排除のメカニズムの解明に資する、福祉国家への移民集団の包摂と排除の実態を調べる。 (2) 多文化共生社会に求められる福祉国家の制度的理念と組織原理を検討する理論的作業を開始する。移民研究と社会保障研究の最新の業績を検討した上で、日独の実態に照らして適合的な理論モデルを確定する。 (3) 上記の(1)と(2)で得られた成果を論文にまとめ、国際的な学術雑雑誌に投稿し、また国際的なコンファレンスにて発表する。
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