研究課題/領域番号 |
22614009
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
綾部 広則 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (80313211)
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研究分担者 |
吉岡 斉 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (30174890)
溝口 元 立正大学, 社会福祉学部, 教授 (80174051)
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キーワード | 知識基盤社会 / 専門的・技術的 / 雇用 / 労働 |
研究概要 |
「専門的・技術的職業従事者」の増大と多様化は知識基盤社会の特徴であり、この人々の能力の開発と雇傭の安定は社会にとって死活的に重要である。しかし現代の日本では「専門職の疲弊」や「高学歴ワーキングプア」といった言葉で表現されるように、そうした人々の雇傭・労働条件は劣悪である。そこで本研究では、女性や外国人を含む専門的・技術的職業従事者について、(1)その量的拡大と質的多様化の歴史的過程と現状を分析し、(2)近年著しい雇用・労働条件悪化の実情と原因を検討し、(3)能力向上と雇用安定への方策の考察を目的として研究を進めている。上記目的のうち、本年度は、まず(1)の専門的・技術的職業従事者の量的拡大と質的多様化の歴史的過程を明らかにすることに主眼を置いた。具体的にはまず、研究協力者として外部の専門家を研究会に招聘し、国勢調査や労働力調査などの各種統計データなどをもとにマクロな観点から専門的・技術的職業従事者の量的拡大と質的多様化の現状に関するメンバー間での共通認識を醸成することにつとめた。その上で、次に、代表的分野における歴史的過程についての調査を行った。具体的には、研究開発、情報通信、ソフトウェア産業、医療福祉分野、出版・メディア産業、シンクタンク・ビジネスなどの分野で専門的・技術的職業従事者の雇用・労働環境はどうであったかを各種の文献データや関係者に対する若干のヒアリングをもとに歴史的に振り返る作業を行った。そうした成果の一部は、8月に東京で行われた国際科学技術社会論学会(日本科学技術社会論学会との共催)にて報告した。現段階はこれらの成果を総括できる段階にはないが、いずれの分野においても、かつてはいわば個人事業として独立し得ていた分野が近年、困難な状況に陥りつつあることは否めない。
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