研究課題/領域番号 |
22614010
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研究機関 | 四天王寺大学 |
研究代表者 |
逢坂 隆子 四天王寺大学, 人文社会学部, 教授 (50028544)
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研究分担者 |
高鳥毛 敏雄 関西大学, 社会安全学部, 教授 (20206775)
嵯峨 嘉子 大阪府立大学, 人間社会学部, 講師 (30340938)
中田 信昭 大阪市立大学, 医学研究科, 講師 (00207804)
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キーワード | 社会的包摂 / 日雇労働者 / 生活保護受給者 / ホームレス / エンパワーメント / 男性高齢者 / 独居高齢者 / 寄せ場 |
研究概要 |
大阪市西成区の釜ケ崎では、日雇労働者の高齢化と不況があいまって、野宿生活を余儀なくされるものが増え、身体的・精神的疾患を持つものが多い。高齢・罹患などを契機に生活保護を受給し、アパート(多くは3畳1間の簡易宿泊所転用)で一人暮らしをするものが急増している。水内らによる西成区の生活保護受給者(野宿経験者多数含む)の調査によると、外出頻度の少ない引きこもり型の、社会との接点を持ちにくい人が約2割おり、傷病や入退院、障害その他、アルコールやギャンブルなど日常生活維持が困難なものが約3割程度いることが明らかになっている。深刻な問題を抱えながら必要な対応ができずに孤独死・自殺に追い込まれるものも少なくない。日雇労働者のさらなる高齢化と経済不況の長期化により、釜ケ崎における高齢単身(男性)生活保護受給者の増加傾向が続くことが予想され、効果的かつ効率的な支援が急がれる。 このような状況に対して釜ケ崎地域では、健康支援をはじめ様々な民間の支援が行なわれているが、支援者するひととのかかわりを通じて、「人として生きるパワー」「社会とのつながり」をとりもどし、「釜ケ崎で生きてきてよかったなあ」と思いながら暮らすことができている人もいる。23年度はこのような事例の聞き取り調査を、支援者・支援者から紹介をうけた被支援者から、実施した。本研究により健康支援をはじめとする支援者とのかかわりを契機とするエンパワーメント方策・社会的包摂推進の可能性が実証されれば、ホームレス者や生活保護受給者にとってのみならず、社会全体にとってもその影響は極めて大きいと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東北の震災の影響による研究費一時凍結により、研究協力者(他機関教員など)の協力が得やすい期間である8月・9月にフィールド調査が実施できなかったため
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今後の研究の推進方策 |
1.これまでに実施した調査の加えて次の聞き取り調査をさらに加える (1)地域の医療機関に入院中・通院中の患者 (2)結核治療終了者・DOTS終了者 (3)健康支援NPOの支援を受けた生活保護受給者 (4)サポーティブハウス居住者の聞き取り調査 2.これまでに実施した調査に加えて24年度実施の調査とあわせて質的・量的分析をおこなう 3.分析結果をもとに大阪市西成区通称釜ケ崎地域に社会的包摂を促進するための仕組みづくりを検討・試行する 4.以上の実践的調査研究結果に関して学際的分析を加え、報告書を作成する
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