研究課題/領域番号 |
22614011
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
森 明子 国立民族学博物館, 民族文化研究部, 教授 (00202359)
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キーワード | 文化人類学 / 都市計画・建築計画 / 社会福祉関係 / 教育学 / 国際情報交換 / ドイツ |
研究概要 |
本研究は、19世紀以来西欧を中心として近代世界を構成してきた社会原理が見直しを迫られているという認識から出発し、ベルリンの街区で都市再生プロジェクトがいかに展開しているのか明らかにしようとするものである。対象とするのは、外国人が集住するベルリンの街区で、都市再生プロジェクトに多様なエージェントが関わっていることに注目している。 平成23年度は9月から10月にかけて1カ月間の現地調査を行った。.昨年度にひきつづき当地で展開した都市再生プロジェクトと市民の関わりについて、その過程をあとづける資料を収集した。とくに平成23年度は、キンダーラーデン運動に焦点をあてて、その複数の関係者に詳細なインタビュー調査を行った。 キンダーラーデンとは、小規模の託児所/保育所機能をもつ装置である。多くは集合住宅の1階にある使われなくなった店舗スペースを利用する。運営主体は、両親と子供と教育者の三者である。キンダーラーデンは70年代の政治運動に起源をもち、冷戦時代のベルリンで80年代にかけて発展し、都市行政において一定の位置を占めるにいたった。しかし東西ドイツ再統一後の政治的経済的状況のなかで、その行政における位置づけは変化しており、キンダーラーデンを運営してきた人々や子供をもつ両親による新たな模索が起こっている。現代のキンダーラーデンには、移民家族のための育児サービスという問題が関わり、また移民とホスト社会の子供をあわせた多文化教育という課題も関わっている。それは地域住民の隣人関係、社会関係をいかに構築するかという問題であり、都市再生プロジェクトとも直接に連続する。 本研究はキンダーラーデンを運動としてとらえて、市民運動や都市再生プロジェクトの一環として検討する視点を打ち出している。これによって、冷戦時代から冷戦後のベルリンの社会編成を明ちかにしようとする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
文化人類学的研究として焦点をあてる事例を絞り、その事例に関して歴史的な展開を明らかにするとともに、関係者のライフヒストリーも含めた詳細なインタビューを行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の変更はない。本年度の現地調査では、これまでの調査で得た情報を精査して、それに関連した情報収集し、厚みのあるデータを構築していくことに力点をおく。平行して、学会発表やシンポジウムなどで、中間段階での成果公開を進める。
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