本研究では,公正さという観点から,望ましい音環境のあり方像の検討を行うことを通し,このような議論を行う際の,この観点の有効性を検討した.1つの公正さの基準の中で,それを拠り所にした望ましい音環境のあり方像を構築することは,可能かつ有効である.しかし,複数の相異なる公正さの基準がある場合,各基準内での望ましいあり方像は決まっても,立場を超えた共通の望ましいあり方像を決定するのは困難である.そのような場合,問題の当事者が集い,合意形成を計りながら,望ましい音環境のあり方像を構築する必要があり,そのように構築されたものこそが,真に公正な望ましい音環境のあり方像となると考えられる.
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