科学者自身が学会発表資料等をパソコンで作成する機会が増えているが、そこではイラストレーションやグラフといったビジュアル表現が大きな位置を占めている。しかし情報の整理方法や表現方法など、問題ある研究発表スライドやポスターが多く見られる。またデザイン学上の問題をまとめた、科学者のためのガイドラインは存在しない。こうした状況をふまえ、学術的で実用性のあるガイドラインを提示したハンドブックを作成し配布することが、本研究の目的である。そのために昨年度は科学者へのアンケート調査結果を分析・考察した論文を完成させ、ガイドライン案を示したが、今年度は以下を実施した。 1. ハンドブック案の妥当性を検証するため、簡易版(カラープリント)を複数部作成し、科学者、サイエンスコミュニケーター、科学系出版社の編集者等に、チェックシートとともに配布し意見を収集した(約10件)。 2. ハンドブック案に1の検証結果を反映させた。 3. 最終的に「科学者のためのビジュアルデザインハンドブック」という名称で、6つの章【「まずは自己分析」「パワポで描く」「グラフ・表・チャート」「効果的な配色」「フォントと文字組」「画面の構成方法」】からなるコンテンツを完成させ、印刷・製本した(B5判、88ページ、1000冊、フルカラー)。 4. ハンドブックを主にアンケート協力者(H22年度実施)に配布した。
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