現在、日本の製造業は、サービスの開発が不可欠なものとなっている。これはITCの技術確信に伴い過去20年間に変化したものであり、それに伴いデザインプロセスも緩やかに変化してきた。しかし、このデザインプロセスを明確にしたものものがないのが現状である。本研究では、このような課題に対して、プロダクトデザインとサービスデザインのプロセスを比較することで、サービスデザインのプロセスがいかに異なっているかを明らかにしたものである。 その結果、サービスデザインのプロセスにおいて一番異なる点は、デザインコンセプトの段階より以前に、ユーザーの観察や評価、ユーザー調査のプロセスがある一方、技術シーズに対する検討があまり手厚くないという現状が浮き彫りとなった。本研究では、このようなプロセスの違いについて、携帯電話、タブレットPCなどの具体的な製品の開発担当者にインタビューをすることで明らかにすることができた。 また、本研究では、このサービスデザインのプロセスにおいて、現在使用されているいくつかの方法論を抽出することができた。今後は、この方法論の体系化が課題となる。これまでのように、日本のデザインが世界をリードし続けるためには、効率的でかつ効果的なデザイン方法を実践する必要があり、サービス・プロダクト・デザインに最適なデザイン方法論を網羅的に再合成し、今日の新たなデザインプロセスにおける方法論の系統的な利用方法の提案について研究する必要がある。
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