研究課題/領域番号 |
22615012
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐々木 正人 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (10134248)
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キーワード | 人間生活環境 / 場所レイアウト / 環境-行為系 / アフォーダンス / 定点観測 / 行為の柔軟性 / 家具 / 段差 |
研究概要 |
ヒトの行為の特徴である多様性や柔軟性は、現代の認知科学の中心テーマのひとつである。本研究は行為の周囲を成す環境と行為の相互性、その成立や変化の過程に焦点をあてることで、行為のデザインと環境のデザインを一体に捉えることを目的とする。日常行為の理解、あるいは場所のレイアウトの設計に新しい具体的・実践的な知見を得ることを目指す。23年度には「場所」のアフォーダンスを以下の二つの場面で検討した。二つの場面での「場所」の動的生成過程を、生活場面における生活財の変遷と、縦断的観察によって記録・検討した。1)新築の戸建て住居に、転居直後から約1年間の居間、台所の家具等生活財のレイアウトの変遷、それらの使われ方、またその変遷の長期持続的記録を行った。レイアウトの変遷から行為における習慣の創発過程を検討する。2)高次脳機能障害者(行為のプランに障害が指摘されている)が、調理のリハビリで卵を割る過程を観察した。卵を操作する前の、きわめて長い、食卓上の環境の改変(器、道具などのレイアウトの変更)行為を観察し、それらを行為の単位に分節化する作業を行った。更に、0-1歳児の屋内の9つの段差における行為の発達を分析し、多数の段差と長く関わることが行為の発達にもたらすことについて、学会誌論文を作成し、掲載された。24年度には上記当初の二つの記録と分析を継続して行い、学会発表を行うとともに、学会誌論文にまとめる予定である。さらに食卓上の長期のモノの痕跡の記録など、新しい観察の場面を開拓する予定である。23年度の成果については、リハビリや建築の専門家によるコメントを得て、分析手法等をさらに洗練させる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた、高次脳機能障害者のモノの利用過程における、行為の特徴の解析に関しては、データの分析を進めている。まとめの段階に入っている。また新居での家具等の配置換えデータは取り終え、整理中であり、本格的な分析を開始する。本年度は、上記に加えて、0-1歳代の乳児の、多数の段差(屋内)における行為の発達について、詳細な分析を行い、論文を作成、学会誌に掲載され。当初の課題及び、波及した問題に関して研究は順調に進行した。
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今後の研究の推進方策 |
高次脳機能障害者の調理行為における配置換えデータと、新居での家具の配置の構造の成立過程の縦断的データの分析を鋭意進め、論文として発表する。
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