平成24年度はLEDをはじめとする新しい光源を活用した光環境デザインの可能性を探求し,その心理評価モデルを検討するため2つの実験を実施した。さらに,光環境の感性評価モデルの適用性について総合的に検討した。 1. 発光面で構成された照明空間の心理評価:将来的に面発光のパネルの活用が可能になると,室を構成する面そのものを発光させるような光環境が想定される。そこで模型空間の天井に加えて,奥の壁全体が発光する実験模型を作成し,その光環境の心理評価実験を実施した。奥の壁の輝度が高くなると,明るさ感,開放感などの評価値が高くなる結果が得られた。また,明るさ感評価は本研究で検討してきた空間の明るさ感評価モデルによる予測と良い一致を示した。壁に色光照明を導入した条件についても実験を行い,色光のあざやかさ,色相などの変数によって,その心理印象を予測する実験式を導いた。 2. 夜間街路空間の光要素と心理印象の関係:室内空間だけではなく,夜間の屋外空間の光環境についても検討した。夜間街路を撮影した画像による評価実験を行った。夜間街路の心理印象としては,明るさ感,不安感が重要な意味を持つことが示された。また,明るさ感は視野全体の輝度情報ではなく,路面領域の輝度情報と密接に関係することが明らかになった。
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