研究目的の一である「国内外の学生宿舎における多文化共生環境を計画設計面から比較・検証する」を行うための第一歩として、129名に留学生に対し、住宅訪問調査を行った。訪問調査においては、住宅の間取り、家具配置を含めた使い方を図面として記録し、また許可が得られた場合には写真撮影も行った。またより多くの客観的データを得るため、アンケート調査も行った。訪問調査の際に行ったものとアンケートのみを単独で行ったものがあるが、それらの合計で日本在住の留学生200名から回答を回収した。アンケート調査は第一部と第二部に分けて行い、第一部においては、選択式の質問からなる全6頁の質問票で、1.回答者のプロフィール(全10問)、2.出身国での住宅と生活習慣(全15問)、3.日本における住居と生活習慣(全30問)、4.住宅を選ぶ際の重視事項(全20問)からなる。EXCELおよびSPSSを使用して各質問項目の回答を単純集計で概観した後、カイ二乗検定を行い、質問項目間に何らかの相関関係が見られるかどうかも検討した。第二部においては、留学生が日本生活の中で体験した問題や支援、また留学生コミュニティに関する質問を、記述式回答を中心に行った。圧倒的多数を占める中国人留学生との渡日前後の比較のため、日本留学検討中の中国人学生にも類似のアンケートを行った。瀋陽の私立進学校の高校生43名については中国に調査員を派遣し、また北京大学の学生12名については短期交流プログラムで日本を訪問した際に質問票を配布して回答してもらい、その場で回収した。平成22年度中にはこれらの訪問調査の資料のまとめおよびアンケート調査結果の入力および集計までを終えた。また現時点でわかった結果について、日本建築学会住宅研究報告集第6号(平成23年度、査読付)に投稿するため、論文を執筆中である。平成23年度日本建築学会大会においても発表予定である。
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