研究課題/領域番号 |
22615023
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
小山 恵美 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (80346121)
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研究分担者 |
仲 隆介 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (10198020)
松本 裕司 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (60379071)
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キーワード | 知的活性度 / 執務空間 / 光環境 / デザイン / 生体計測 / 分光分布 |
研究概要 |
より創造的な知的生産活動を高める執務空間の環境要件が多くの企業で求められている。本年度は、照度変化だけでなく光源の種類(分光分布)条件の比較も可能になるように光環境制御装置を改良し、実執務を想定した状況において光環境制御が知的活性度に及ぼす影響を生理的・心理的に評価した。 実務作業の印象評価では、実用範囲内の照度である蛍光ランプ250、500、1000、20001xを比較すると、5001x条件で最も集中して作業が出来、必ずしも高照度条件を必要としないという結果であった。さらに、5001x、相関色温度が同程度の条件下において、分光分布の異なる蛍光ランプとLEDを比較すると、LEDの方が副交感神経活動を抑制する傾向があり、生理的覚醒度が上昇する可能性が示唆された。しかし光環境の印象評価では、LEDは蛍光ランプよりも印象が悪い傾向であり、光源分光分布の重要性が示された。 以上の結果、および、前年度の非定常光環境(照度時間変化)が自律神経活動や生理的覚醒度に上昇方向の影響を与える可能性があるとの結果より、光環境の印象を改善できるようLEDの分光分布を調整し、照度を制御することで、省電力という社会的要請にも対応でき、生理的覚醒度の改善さらには知的活性度の向上を図ることができると考えられる。 また、自発的歩行を伴った執務外行動についての評価結果より、自発的歩行(気分転換行動)の前後に、歩行という身体的活動に直接的に依存しない心拍数上昇がみとめられた。よって、心拍変動を長時間モニターすることにより、ワーカーの活性度変動を時系列で把握し、それらの変動タイミングを光環境制御(照度時間変化)に反映できると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・脳波や心拍情報などの生体信号により、執務中の「ひらめき」の土台となる知的活性度の計測評価指標の構築が順調に進んでいる。 ・光環境をデザインすることに際し、光源の選択や分光分布の重要性が示唆されている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、LED照明の分光分布改善(覚醒度維持向上に寄与するだけでなく、印象評価を向上させて疲労感などの悪影響を生じさせないように改善)、およびワーカーの活性度変動を考慮した照度変化を照明装置に盛り込み、光環境の非定常制御が及ぼす知的活性度への影響を検証する。
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