研究課題/領域番号 |
22615024
|
研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
櫛 勝彦 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (30324726)
|
キーワード | デザイン学 / エスノグラフィー / 人間中心設計 / プロダクトデザイン / 観察 |
研究概要 |
本研究は、核家族・高齢化社会における介護行為に関わるサービス・環境・機器のあり方をデザインシンキング手法、特にビデオエスノグラフィーの応用によって見直し、老齢者の生活、そして、介護士・看護師の労働環境・作業行為双方の量・質の改善に向けた根本ニーズの解明と問題解決への指針を示すことを目指している。 23年度前半においては、京都市内の地域密着型小規模多機能施設「十四軒町の家」と特別養護老人ホーム「はなぞの」の両高齢者施設をフィールドとしてビデオ観察を実施した。両施設は、通所と定住型、要介護度の違いなど、機能と目的が異なるが、両者をほぼ並行する形で、利用者やスタッフとの良好な関係性(ラポール)の形成と、その後のビデオ観察を約3ヶ月に渡り行った。その後、ビデオデータの切片化を通した分析を行い、問題抽出を行った。 23年度後半では、両施設関係者とのワークショップを開催し、ビデオデータを元にしたビデオカードゲームを通し、問題を概観する問題マップの作成を共同で行った。問題マップは、目的の異なる2施設を跨がる形で作成されたが、生成された問題カテゴリーとその構造は、2施設関係者からも高齢者施設に一般的に存在する問題であるという確認を得ることが出来たことから一定の妥当性が保障されたという認識を得た。 問題マップから再解釈を重ね、デザインコンセプト群を生成し、それぞれの群(カテゴリー)に対してのデザイン解を視覚化した。それらデザイン解は、2施設に対して説明し、それぞれより質問紙への回答の形式で評価を得ようとしている。(1施設からは収集済み。)
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
協力を得た高齢者施設との良好な関係から、問題抽出を共同で行う事ができ、さらには、それらのデザイン解についての評価も得つつある。
|
今後の研究の推進方策 |
当初計画では、これらの成果をドキュメント化することとしているが、その前に、デザイン解の中で特に評価の高かったもので実現化可能性の高いものについて、視覚化からさらなる実体化、つまりプロトタイピングが研究成果としては、意味の高いものになるのではと考え、第2の視覚化を挿入することを計画している。 上記ステップの評価も含め、当初計画のドキュメント化を進行させたいと考えている。
|