研究概要 |
本研究提案は医療デザインにおけるデザイン方法論の確立とその応用に関するものである.具体的には,本研究提案者がこれまでデザインを行ってきた人工心臓,ワクチンシリンジ(注射器),トリアージタグ(被災者選別指標)などの個別のデザイン事案を高所から俯瞰し,医療デザインにおける方法論を確立し,本方法論に基づいて新たな医療デザインを生み出し,かつ本方法論に基づいて形成された集合知から次世代のデザイナ教育へと引き継ぐことである.本研究提案は医療デザインにおけるデザイン方法論の確立とその応用に関するものである.以下の目標を掲げる.【目標1】本研究提案者が従来行ってきた医療デザインをより高所から俯瞰し,デザイン方法論を確立すること.【目標2】本デザイン方法論に基づき新たな医療デザインを生み出すこと.【目標3】本デザイン方法論による集合知によって次世代のデザイナ教育へと引き継ぐこと.目標1のために,次の要請を満たすデザイン記述言語を定義した.(I)シンボルは一般的な形態および機能(医療行為に絞る)を包含する.(II)シンタックスは形態と機能を同時に記述可能である.(II)セマンティクスとしてミクロ事象とマクロ事象を包摂する.また本デザイン言語(目標1)に基づき,新たな医療デザインを創出した.具体的には(a)パンデミック対策のためのドライパウダーワクチン吸引システムの開発,(b)心筋細胞の再生を支援する体内埋め込み型デバイスの開発,(c)スマートトリアージシステムの開発を行った.
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今後の研究の推進方策 |
本研究提案のデザイン方法論に基づいた集合知によるデザイン教育を確立する.より実効性のあるものにするために,主に理工系研究者,医学系研究者,デザイン系研究者からなるネットワークを設立し,集合知によるナレッジベースを構築する.本研究の将来展望として,デザインガイドラインのみならず,デザインそのものが集合知としてクラウドに蓄積され,クラウドによる新たなデザインの創造が考えられる.
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