本研究の目的は、20世紀に興隆を迎えた近代デザインの哲学的基礎にかんして、モダニズムとポストモダニズムの観点から考察し、デザインないしは芸術工学の認識論的・存在論的位置について一定のモデルを提示することを目的とするものである。本年度は、近代デザインの成立とその発展に関わる、19世紀の後半から20世紀の前半に関わる部分を中心として、主に基礎的な文献研究に従事した。本年度の研究は、(1)カント以来の伝統的な芸術美学、(2)20世紀哲学思想、(3)メディア論の三つの観点から、デザインのモダニズムを支える哲学的基礎として、ビーダーマイヤーやユーゲントシュティール、バウハウスをめぐるデザインの史的展開を分析した。その経過で、ドイツ工作連盟の創始者の一人である、ムテージウスの思想に特に注目して研究を行った。 研究成果の発表に関しては、本年度は、デザインの哲学的基礎付けに関する基礎的文献を調査し、購入し、読解することに専念したため、研究成果の発表までには至らなかった。しかしながら、23年度の4月にバウハウスのデザインに関する研究発表を行う準備を整えた。 また、その経過において、モダンデザインやその後の新しいデザイン潮流を示唆する主要な文献に関して、内容紹介を含む詳細なデータベースを構築した。またそのデータベースを閲覧可能なホームページ(http://kogatoru.sakura.ne.jp/design/)を作成・運営した。
|