研究概要 |
近年遊園地のアトラクション等で,臨場感を高めるためにコンプレッサや扇風機といった装置が利用されている.我々は更なる臨場感の向上のために,空気砲から噴出される渦輪を利用した,触覚提示ディスプレイの研究を行っている.渦輪には,質量と運動量の輸送能力が高い,領域内に流体を閉じ込めて直進する,塊感を表現できるという特徴がある.この特徴を利用して,既存の風覚ディスプレイ以上の幅広い表現ができる触覚ディスプレイを製作し,エンタテイメント分野での利用を目指している.現在までの研究では,タイミングベルト駆動のピストン式空気砲を試作し,空気砲のパラメータ制御による渦輪の進行速度と人に与えられる触覚の印象の関連を検証してきた.その結果,渦輪が人の顔に到達する際の渦輪の進行速度が遅い場合は「柔らかい」「ふわっとした」等,進行速度が速い場合は「硬い」「塊のような」といった印象が与えられた. よって提示できる触覚は渦輪の進行速度を変化させることで,幅広く変化できると考える. また,より空気砲をエンタテイメント装置として扱い易いように小型化のためにバルブ式空気砲を製作した.バルブ式空気砲において印象を与えるのに必要な渦輪の進行速度の制御と装置の安定性について検証し,ピストン式空気砲より安定性が高く,小型軽量化が実現できた. 今後の課題として,映像と同期させたコンテンツの製作や小型量産化した空気砲をアレイ化することによる効果を実験的に検証していく.
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