高齢ユーザおよび若年ユーザを対象にジャー炊飯器等の家電機器を評価対象サンプルとした評価実験を実施し、各世代における「視覚的使いやすさ感」の評価構造を分析することを目的に、研究を実施した。市販されているジャー炊飯器、およびコンパクトデジタルカメラを対象に被験者として高齢者(70~80歳代)、および若年者(10~40歳代)を選定依頼し、主観評価およびユーザビリティテストを実施した(但し、デジタルカメラは若年者のみ)。主観評価は「視覚的な使いやすさ感」に関する5段階評価で、それぞれの製品群毎に2機種を対にし、一対比較データを取り、区間AHP法により順位付けを行なった。主観評価時は視線計測装置を用いて被験者が評価対象サンプルのどの部位に着目しているのかについても探った。実験の結果、本体に対する操作部の識別性、本体の基本形状、デザインの完成度等、「視覚的に使いやすさ」に関する高齢者、若年者共通の評価構造、高齢者特有の評価構造が明らかとなった。また、視線計測結果から、高齢者と若年者の評価行動の違いも明らかとなった。また、評価対象機種を拡げ、携帯電話、アイロン、オーディオ機器、リモコン等を用い、若年者を対象に評価実験を行い、区間回帰分析と区間AHPの区間分析法とラフ集合を用いて、「視覚的使いやすさ感」に影響する対象機種固有の要因や共通的要因を抽出した。今年度一部の成果を関係学会に口頭発表を行ない幾つかの貴重な助言を頂いた。引き続き日本デザイン学会大会での発表および同学会誌への投稿を行う予定である。
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