本研究は、誰にでも不自由なく使えるユニバーサルデザインの教科書を実現するため、デジタル教科書を視野に入れ、その標準的なコンテンツとインターフェイスの構成等デザインを行い、具体的なモデルケースの実現により、新しい教科書デザインの仕様を作成する研究である。 平成22年に関しては、主に調査研究を充実させ、学校環境のリサーチ、デジタルツールを活用した授業などについて教員へのヒアリング等は順調に実施することができた。また、教科書出版社との協力体制により実際の教科書DTPデータをアドビ社Indesign形式への変換検証は予定以上に進行し、さらに電子書籍等に転用しやすい形式(汎用性のある教科書データ)への変換など最終データを構築する準備ファイルまで作成することができた。 ただし、平成22年4月以降、デジタル教科書に関する社会情勢が急速に進展し、文部科学省、総務省においても新たなICTに関する方針が相次いで策定されている。特に「学校教育の情報化に関する懇談会」及び「教育の情報化に関する手引」の結果や「フユーチャースクール推進事業」の実証研究等は、小・中学校、高校、また特別支援学校からも注目されているが、それらの動向を見定めてより精度の高い研究とする必要があった。当初平成22年9月から実施予定の教科書のデータ化、デバイスのカスタマイズ、Flash等を使用したデータ作成に関する業務(物品購入、旅費、専門家の謝金、データ化の外注費等)については、新しい仕様も踏まえ10ヶ月間、期間を延長し取り組んでいる。
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