研究課題
本年度の研究の主目的は、近世日本の図の収集を行うことで、特定の分野に偏らず図が活用されている幅広い分野の文献の収集を行った。具体的には、暦関連の文献、算学関連の文献、着物の図柄や菓子などの雛形に関連する文献や、陶器・漆器・銅器などの工芸品の下絵など、今日のデザインで使用される図案や設計図につながる図的表現を扱ったもの、また、医家が収集していた医学書関連の文献における図的表現で、解剖図や東洋医学で使用された図、本草学の図、さらに天文学や地理学に関わる図、星座を表した図や地図、兵学で兵法を表した図、東洋思想に関わる図的表現で、易学の図や陽明学で活用された図、江戸庶民の間で流布した各種番付表、商人が使用した見本帳や、道中案内図、花道の解説書などに見られる図的表現などを収集した。幅広い分野の図を多数集めてみることで、近世の図的表現が文字言語と並んで重要な情報表現方法であったことがわかり、また日本人のユニークで美的センスにあふれた多彩な図的表現が創作されていた事も見えてきた。近世の文献を調査するにあたり、インターネットで閲覧できる書籍データにはまだ限りがあることから、国内の図書館・資料館などを直接訪問し、できるだけ当時の書籍を直接調査することに努めた。また、近世の文献を明治以降に印刷刊行した書籍は、図版部分が削除されているものが多いために、近世当時の文献を調査することを重視して実施した。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
芸術工学会誌
巻: 50 ページ: 61-61
Symmetry : Art and Science (The Journal of the International Society for the Interdisciplinary Study of Symmetry)
巻: Vol.1 ページ: 104-109
巻: Vol.1 ページ: 290-293