研究課題
本年度の研究の目的として、昨年度に引き続き近世日本の図の収集を幅広い分野の文献資料から行い、収集した図のデータベースを構築し、図の体系化をはかるためにビジュアルデータベースシステムを開発し、それを用いて図の分類を行うことを目指した。本年度収集した図は、これまでに収集した図と同種のものを補いながら、新たに近世の本草学に関わる図、建造物の雛形を表した図、商人が使用した染物や織物の図案(設計図)、そして生花に関する図など多種に渡り収集した。全国には未だ公開されず保存されている文献も多々あり、図の収集活動は今後にも残された課題であるが、本年度までで幅広い分野の図がかなり収集できた。次に、図のデータベースを構築するにあたり、図の形態的特徴、表現内容、使用目的、そして図の画像データの情報を登録できるようにし、さらに、蓄積した図のデータベースを形態的特徴などから分類でき、その結果を分かり易く閲覧できるビジュアルデータベースシステムの構築を行った。本システムの特徴は、データベースに登録されている図を任意の項目に応じて分類でき、その結果を視覚的に分かり易く閲覧することを可能にした点にある。これによって、様々な視点から図の分類を検討することができ、体系化を支援するツールとしての役割も果たした。図の分類結果の表示方法は、3次元座標系にマッピングするようにし、分類結果の全体的な特徴が一目で分かり易いようにし、図の詳細もGUI(Graphical User Interface)を活用して視覚的に閲覧できるようにした。本ビジュルデータベースシステムは将来的にはWebでも公開できるようにするために、システムの構築環境としてAdobe Flash ActionScript3.0とPapervision3Dを使用し、インタラクティヴなビジュアルデータベースシステムを構築した。本年度は、システムの開発を中心として研究を進めたため、本システムを活用した図の分類調査の結果は、来年度春期に学会にて発表することを予定している。
2: おおむね順調に進展している
交付申請時に記載した計画を目標にして実際に遂行することを心がけた結果、おおむね順調に進展している。データ収集、データベース構築と図の体系化のためのビジュアルデータベースシステムの開発にかなり時間が掛かったために、それを用いた研究成果の発表が多少遅れている。
今後は、本年度の研究成果を積極的に学会等で発表することを推進し、さらにこれまでに収集した近世日本の図の体系化の成果を出していきたい。今後の研究計画は当初の予定通りに行う。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
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