本研究は、近世時代に日本において描かれ、活用された図的表現のデータベースを構築し体系化を試み、近世日本の図の表現特性を抽出することを目的とする。そのために、まず当時の図を幅広い分野の文献資料から収集を試み、収集した図を形態的特徴から分類した。その結果、近世日本において、図は天文、地理、暦術、医術、本草、算術、思想、産業(染物、菓子、工芸)、建築業、広告、行政、軍事など、幅広い分野の文献において活用されており、特に当時の実学関係の書物において活用されていることが分かった。さらに当時の図を形態的特徴から分類を行った結果、類似した形態的特徴を有する図は分野に限定されるものではなく、また表現の対象も様々であるが、図を構成する図形には共通する意味や使い方が存在すると考えられた。
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