研究課題/領域番号 |
22615044
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研究機関 | 福井工業大学 |
研究代表者 |
池田 岳史 福井工業大学, 工学部, 教授 (00340026)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | サイン / 表記法 / デザイン / シークエンス / 駅空間 |
研究概要 |
本研究は,「交通結節点における誘導サインのデザインと空間表記法を用いた連続性検証による最適化」を目的としており,平成25年度については,平成24年度調査までの成果発表を行うとともに,これらの成果を基に以下の3点を目的とし研究を遂行した。1.「既設サインの連続性検証」,2.「サインデザイン研究」3.「研究成果のとりまとめ」。これらの目的の内,1.「既設サインの連続性検証」については,駅空間の既設サイン調査の結果を基に,交通結節という観点から乗り換え経路上のサインの連続性と空間構成変化との関係を明らかにすることを目的に,平成23~24年度に詳細調査を行った駅空間(王子,大塚,岡山,広島,高知,松山,黒崎,長崎,浦上,熊本,上熊本,新水前寺,鹿児島中央の各JR駅)の調査に加え,札幌市内2駅(大通駅,すすきの駅),JR函館駅,鹿児島地区5駅(鹿児島中央駅,鹿児島駅,南鹿児島駅,郡元駅,宇宿駅),広島地区9駅(広島駅,横川駅,西広島駅,新井口駅,五日市駅,廿日市駅,宮内串戸駅,阿品駅,宮島口駅)の新規調査及び追加調査を行った。2.「サインデザイン研究」については,平成24年度までに調査を行った駅の構内,及び,駅前広場空間,地下空間から抽出したサインの分類,比較を行った。この作業については,平成25年度にも調査を行っているため,これらの調査から得られたサインについても,引き続き考察を行っていくこととする。更に上記目的3に挙げた通り,研究の中間年を過ぎたことから,これまでの調査結果について成果の取りまとめを行った。なお,これらの成果については,平成26年度に,日本デザイン学会,及び,日本建築学会において発表を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度当初目的とした項目は1.「既設サインの連続性検証」,2.「サインデザイン研究」,3.「研究成果のとりまとめ」である。各項目の到達度について以下に検証した結果を述べる。 1.「既設サインの連続性検証」既調査において追加調査が必要となった駅,及び,規模の違いによる比較を行うために新規に調査を行うことが必要となった駅の調査を行った。対象駅は,札幌市内2駅(大通駅,すすきの駅),JR函館駅,鹿児島地区5駅(鹿児島中央駅,鹿児島駅,南鹿児島駅,郡元駅,宇宿駅),広島地区9駅(広島駅,横川駅,西広島駅,新井口駅,五日市駅,廿日市駅,宮内串戸駅,阿品駅,宮島口駅)である。目的を達成するための調査は,順調に進んでいる。一方で,これまでの調査について分析,考察については,特に収集した資料が膨大であることもあり,遅れを生じている。本項目に関する成果の発表は,日本デザイン学会,日本建築学会において行っている。これらから本項目は「やや遅れている」と評価する。 2.「サインデザイン研究」上記項目1と同時に現地調査を行い,各駅,駅前空間に設置されたサインの収集と分析を行い,発表を行った。本項目については,「おおむね順調に進展している」と評価する。 3.「研究成果の中間とりまとめ」これまでの調査結果のとりまとめについては,上記項目1の分析,考察の遅れの影響もあり,「やや遅れている」と評価する。 以上により研究全体としては「③やや遅れている」とする。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究については,平成26年度について,平成22~25年度調査結果に関する成果発表を行うとともに,これらの成果を基に以下の4点を目的とし研究を進めることを計画している。 1.「既設サインの連続性検証」これまでに行った駅空間における空間構成調査と既設サイン調査の結果を基に,交通結節という観点において,乗り換え経路をシークエンス空間として捉えた空間変化とサインの連続性との関係を明らかにする。 2.「調査空間における利用者行動の検証」これまでの既設サインの連続性検証の成果を基に,調査空間においての利用者行動を調査し,検証結果と実空間利用者行動との関係を明らかにする。 3.「サイン連携の検証」サインの設置位置,掲出方法,文字やピクトグラム,色彩,形状といった条件について,相互関係を考慮しながら検証を行う。 4.「研究成果のとりまとめ」調査結果について,成果の取りまとめを行うとともに成果の社会還元を考え公開する。 これらの研究の推進方策として,平成25年度までの到達度において,「③やや遅れている」とした要因の一つとして挙げた,分析,考察の遅れを可能な限り早く解消するよう努める。また,研究最終年度に当たることから,研究全体の取りまとめに向けた,研究協力者との連携をより密に行う。そして,成果の社会への還元に向けた取り組みも進めることとする。
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