1在宅高齢者(認知症者含む)訪問調査:昨年度に引き続き、独居(日中独居含む)高齢者に対する訪問調査をETUQ-KOBEを用いて実施した。3年間の累計は91事例となった(男性21名、女性70名、平均年齢79.8歳、内認知症者30名、軽度認知症4名)。これにはアクティブな日常生活を送っている高齢者群も比較目的で対象とした。結果をデータベース化するために、FileMakerを用いてフォーマットを定めデータ入力に着手した。 2カロリンスカ研究所(SWD)との調査情報交換:8月にカロリンスカ研究所を訪問し、調査結果の比較を行った。カロリンスカでは新旧データを比較し、コーホート分析を行っており、世代の移行に伴う変化という重要な問題が提起された。 3家電製品への組み込みを前提とした支援技術の開発:今年度は「電子レンジモニタ」の動作確認および有効性評価を継続するとともに、ソフトウェア開発の工数を減少させる目的で、プラットフォームをR8CマイクロコントローラからATMEGA328Pへ移行させ、ARUDUINOのSDKを利用できるようにした。また、認知症ではないが、記憶に障害のある高次脳機能障害者家族からのトイレ洗浄忘れの問題に対して、用を足した後に洗浄せずにドアを開けたときに、音声で洗浄を促す装置を開発した。3カ月間の使用後、洗浄忘れがほとんど観察されなくなった。このような促しは認知症高齢者に対しても有効と考えられ、生活行為を促す装置の重要性が明らかとなった。 4研究会議の開催:概ね1カ月に1回の研究会議を開催し、調査結果の報告と討議、市販支援機器の使用性評価、機器のあり方に関する検討などを行った。また、在宅高齢者の電化製品使用を助けている、「街の電気屋さん」を招き、どのようなサービスを提供しているのか、また、求められているのかをヒアリングした。 以上の研究実績は今後の研究継続に大きな成果となった。
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