本年度は、前年度までの研究成果を「明治末期から大正初期の日本における工業意匠概念について―明治四十二年(一九〇九)意匠法を中心に」と題した論文にまとめ、6月に学術雑誌『美学』に査読論文として掲載した。9月には、この論文内容をさらに展開した研究成果をブラジル共和国サンパウロ市サンパウロ大学において開催された2013年国際デザイン史デザイン学会議(ICDHS2013)において英語によって発表した。その発表内容は、12月に「Japanese industrial design concepts in the transition from the nineteenth to the twentieth century: with special reference to the Japanese industrial design educators Hirayama Eizo (1855 - 1914) and Matsuoka Hisashi (1862 - 1944) 」と題した論文として、ブラジル共和国Blucher出版社からデジタル版で出版された。また11月には、大正期から昭和戦前期の日本における工芸(インダストリアル・アート)概念と応用美術思想との関係を調査するために、京都工芸繊維大学附属図書館において、雑誌『帝国工芸』の調査研究とともに同大学附属美術工芸資料館において、セセッション様式の所蔵品の閲覧調査をおこなった。 以上の研究と調査から、明治後期の日本における工業意匠概念が、すべての工業製品の美化を目的とする汎美的なインダストリアル・デザインとして意義づけられることを明らかした。
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