研究課題
本年度は、機械刺激応答のモデルとして血管内皮細胞の流れ負荷と繰り返し伸展刺激に対する応答を用い、アクチン線維の脱重合因子コフィリンのリン酸化制御と低分子量Gタンパク質Rhoファミリーの活性制御に関与する分子の探索を行った。血管内皮細胞に対する流れ負荷刺激においては、コフィリンの活性化因子である脱リン酸化酵素Slingshotとの関連を検討し、Slingshotの発現抑制が血管内皮細胞の流れに対する配向を阻害する傾向があることを明らかにした。また、繰り返し伸展刺激におけるRhoファミリーの時空間的な活性制御を行う分子を想定し、低分子量Gタンパク質に対する活性化因子であるグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)の網羅的なスクリーニングを行った。その結果、繰り返し伸展刺激の応答に必要なRho-GEFとしてGEF-H1を含む複数の遺伝子の同定に成功した。また、生化学的な解析から、GEF-H1がWntによる細胞の平面内細胞極性シグナルの下流で機能していることを明らかにした。さらに、異なる種類の力覚応答に関与するシグナル伝達経路を明らかにするため、乳腺上皮細胞の細胞外基質の硬さ依存的な形質転換、増殖促進に関与するRho-GEFの網羅的スクリーニングのアッセイ方法を確立し、スクリーニングを開始した。また、コフィリンとアクチンの結合を阻害する低分子化合物の探索を行った結果、アクチンの重合阻害因子であるサイトカラシンDがアクチンに結合してコフィリンによるアクチンの脱重合を阻害することが明らかとなった。また、細胞に対してサイトカラシンDを作用させた場合、細胞内のアクチンの重合度に変化が起こらないことが明らかとなった。今回の解析によってサイトカラシンDは、アクチン線維に結合することで、重合阻害と共にコフィリンによる脱重合も随害することを明らかにすることができた。
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