細胞膜の変形を認識する伸展刺激依存性機械受容チャネルの細胞内アクチン動態への関与を調べた。細胞遊走の際に形成されるラッフル膜に機械受容チャネル由来のカルシウムイオンの流入が見られた。がん細胞株の機械受容チャネルをRNAi法により発現抑制すると、細胞内カルシウム濃度の上昇が顕著に低下すると共に、細胞遊走能が減少した(未発表)。従って、チャネルを介したカルシウム流入と遊走に必要なラッフル膜形成との関連が示唆された。ダイナミン・コルタクチンもまたラッフル膜形成に必要なタンパクである。ダイナミン・コルタクチン複合体によるアクチン制御機構を明らかにした。ダイナミン・コルタクチン複合体は、数本のアクチン線維をクリップし、アクチン線維の安定性を促進する。このアクチン制御機構は、神経細胞突起伸長、がん細胞の遊走に必要であった。これら結果をまとめ神経突起伸長における重要性につき、J. Neuroscience誌に発表した。得られた知見は、神経再生、がん細胞の転移治療の基盤になると期待される。
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