研究課題
田辺:脂肪組織のメカニカルストレス(MS)反応に関する研究=食餌性肥満マウス腹部への振動刺激負荷による脂肪組織での変化を解析した。1)開始後3日目にはERK/MAPキナーゼの一過的活性化傾向が見られ、2週間後では差異は消失した。ERKはインビトロ脂肪細胞の分化を抑制するが、インビボ脂肪組織のMS応答においても、ERI(活性化が脂肪細胞の分化に影響する可能性がある。2)リアルタイムPCR法による既知遺伝子の発現解析とディファレンシャルディスプレイ解析を試みた。遺伝子クローニングと配列解析を継続する。3)振動刺激前後の耐糖能試験を行った。振動刺激群は、腹腔内グルコース投与後、血中グルコース濃度の上昇が抑えられ、同一個体では刺激開始前に比べて刺激後に耐糖能が向上する傾向が見られた。4)マウス脂肪前駆細胞に分化特異的プロモーターの蛍光タンパクレポーターを導入し、分化誘導刺激による発現を確認した。多方向性分化能を有する幹細胞における分化特異的蛍光タンパクの多重検出系を検討中である。斉藤:肺高血圧病態モデルでのメカニカルストレス反応と実験治療研究sPLA2選択的阻害薬インドキサムの慢性投与による肺高血圧ラットの実験治療と病理組織解析を行った。著明な延命効果に付随する肺循環組織のアポトーシス、sPLA2の局在について組織学的に解析した。鎌滝:脂肪組織および肺循環組織の病理および免疫組織学的研究振動刺激を与えた脂肪組織における細胞分化およびマクロファージ(Mφ)の極性変化に着目し、成熟脂肪細胞、M1-Mφ(CD11c^+)、M2-Mφ(CD206^+)に関して免疫組織化学解析を行った。脂肪細胞の平均サイズに有意差は無く、アポトーシスも検出されなかったが、CD11c陽性細胞の増加が認められた。一方、CD206陽性細胞については、明確なシグナルが得られず引き続き他のM2Mφマーカーを検討する。
2: おおむね順調に進展している
東日本大震災に影響が残ったため、23年度前半までは遅延があったものの、その後遅れを取り戻し、ほぼ計画した実験を消化しつつ現在に至っている。
研究計画に特に変更はなく、また研究遂行状の大きな問題も無い、当初計画に準拠して研究を進める。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
Journal of Pharmacological Sciences
巻: 118(suppl1) ページ: 214
Science Signaling
巻: 4 ページ: ra3
DOI:10.1126/scisignal.2001227
巻: 115 ページ: 525-531
doi:10.1254/jphs.10247SC