研究課題
脂肪細胞・組織のメカニカルストレス応答は未だ不明な点が多い。本研究では、高脂肪食負荷HFDにより肥満したマウス腹部に連日の振動刺激を与えた後、個体および脂肪組織代謝内分泌機能について検討した。連日30分間の振動刺激を与え、2週間経過した後の耐糖能は、振動刺激群においてのみ有意に改善された。脂肪組織重量や脂肪細胞サイズに関しては、対照群と振動刺激群の間で差は見られなかった。mRNA発現レベルでは、振動刺激群の脂肪組織中でのadipogenic因子の減少とanti-adipogenic因子の増加、更には、一部のM1-マクロファージMφマーカーならびに、多種類のM2-Mφマーカーの発現増加が観察された。HFDにより肥満したマウスの腹部局所に振動刺激を与えると、直下の脂肪組織においては、脂肪細胞分化に関連した細胞機能と組織に浸潤するMφの極性が変化し、組織、更には個体レベルの代謝内分泌機能にまで影響が及ぶことが示唆された。また、メカニカルストレス応答の循環系病態への関与を想定し、肺動脈収縮機能異常への分泌型ホスホリパーゼsPLA2の関与と肺動脈性肺高血圧PAHラットの病態との関連性について検討した。肺高血圧モデルラットMCT-PHRの摘出肺動脈に見られる緊張性異常のうち、PGH2未変化体による律動性収縮の発生は、特異的sPLA2阻害薬indoxamおよびCOX2阻害薬NS398により消失し、COX1阻害薬SC560には影響されなかった。MCT-PHRでは、肺と肺動脈でのsPLA2-Xの発現レベルが増加しており、病態成立後にindoxamを持続投与したところ、対照群は3週以内に全例致死となるのに対して、indoxam投与群では、右室の圧および肥大に改善はないものの、6週後に至っても約40%の生存率が得られ、肺循環でのsPLA2がPAHの新たな治療標的となることが示唆された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Pharmacological Sciences
巻: 121 (suppl.) ページ: 201P
Mechanosensitivity in Cells and Tissues: Mechanically Gated Channels and their Regulation
巻: 6 ページ: 379-404
DOI 10.1007/978-94-007-5073-9_14
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doi: 10.1254/jphs.12024FP