研究課題/領域番号 |
22616008
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
竹森 重 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20179675)
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研究分担者 |
山口 眞紀 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30271315)
木村 雅子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (30328314)
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キーワード | スキンドファイバー / 横紋筋 / エックス線回折 / Spring8 / 筋節 / ミオシン / アクチン / ブタンジオンモノオキシム |
研究概要 |
横紋筋の筋節構造が筋伸展による自原性の収縮活性化を生み出す機構を調べるために、SPring8に共同利用実験2010B1391のビームタイム配分を受けて骨格筋と心筋のX線回折実験を進めた。骨格筋についてはミオシン頭部固有の状態を見るためにアクチン線維を除去した脱鞘筋線維標本を主に用いてミオシン層線を中心に解析した。心筋については心室壁深部からの剥出条片が良好なX線回折像を与えることが分かりこの標本で骨格筋同様の解析を進めることとした。 アクチン線維を除去した骨格筋スキンドファイバーでは、これまでにATPの有無でミオシン頭部の突出状態が変化することが報告されていたが、筋フィラメント格子間隔に対するこのミオシン頭部の状態変化の寄与は限定的だった。ポリエチレングリコールによるスキンドファイバーの脱水されやすさで筋フィラメント格子の硬さを評価したところ、ミオシン頭部へのATP紹合の有無かかわらず、ほぼ同じようにスキンドファイバーは圧縮された。筋収縮相互作用を可逆抑制するブタンジオンモノオキシム(BDM)はカルシウム非存在下においてもミオシン頭部の突出状態を太いミオシンフィラメント本来の螺旋配置に近づける強い効果を示した。BDMよりもはるか低濃度で収縮性相互作用を抑制するBTSも同様の効果を持ったことから、ミオシン頭部の螺旋配列状態への作用と筋の活性化作用との間に共通要素があることが強く期待される。つまりミオシン頭部の分布域とアクチンフィラメントとの単純な距離関係ではなく、立体特異的な相互作用あるいはミオシン頭部の可動性が鍵になることが強く示唆された。これを検証するために、フチフネス測定をミオシン頭部とアクチンとの近接度の評価としてだけでなく、BDMの有無によるクロスブリッジの形成速度および形成されたクロスブリッジの可動性評価に利用することとした。
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