研究概要 |
並列プログラミングの方法論を"Parallelism-Oblivious Parallel Programming(並列忘却プログラミング,POPP)"の視点から追究する。並列性の活用は最近の計算的手法に関わる大きな課題であるが、プログラマがそのときどきの並列計算機に対処している現状は抜本的な解決策にはならず、むしろ、これを続けることは負の遺産を残しかねない。この課題の解決のためには、今後も出現が予想される多様な計算機に対しても有効な信頼性の高いプログラミング手法を確立する必要がある。POPPは、各分野の研究者・技術者が対象とする問題のモデル化に注力して、"並列性を意識することなく"今後の並列計算機においても持続的に利用できるプログラムを開発し蓄積することを目指すものである。 平成22年度には、これまでの並列プログラミングに関する研究成果をもとに、POPPの立場から、従前の手法による並列化手法、およびスケルトン並列プログラミングを評価する。また、併行して、逐次プログラムにおける代表的なプログラム構築法である分割統治法、動的計画法、バックトラッキングなどの手法を、POPPの一つの枠組みと考えられるデータ生成子(generator)を基礎にしたGenerator-based Programmingに集約する方法を検討した。プログラムの実行にかかる実証実験は、関数プログラミング言語HaskellのGHCシステム、および、Project Fortressで提供されているFortress処理系を用いた。
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