研究課題/領域番号 |
22650008
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中村 宏 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 教授 (20212102)
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キーワード | コンピューティング / 実行モデル / アーキテクチャ / 高性能化 / 低消費電力化 |
研究概要 |
コンピュテーションの高性能化と低消費電力化を飛躍的に推し進めるべく、演算処理を行う部分とデータ転送路の「物理的な場所」を陽に規定することが可能な、これまでとは全く異なる新しい実行モデル「データレジデントコンピューティング」の導入とその設計方法論の確立を目指している。その目的のために、VLSI内部で多くのプロセッサがパケットスイッチングネットワークで接続されるメニーコアプロセッサを取り上げ、以下の2点の検討を行った。(1)物理的な場所を意識したデータ圧縮:データ転送路の混雑は物理的な配置だけでなく、実際の転送量にももちろん依存する。転送量を削減する手法としてデータ圧縮が広く知られているが、このデータ圧縮の効果も当然ながらデータ転送路の物理的な配置に依存する。またデータ圧縮自体に時間を要するので、得られる効果がこのオーバヘッドを上回る必要がある。そこで、3次元実装VLSIをとりあげ、物理的な配置に応じて混雑しやすいデータ転送路においてのみデータ圧縮を実施する手法を提案しその手法の有効性を示した。(2)データ転送路のモデリング:設計方法論を確立するためには、(1)でのべるような個々の最適化がシステム全体の性能に与える影響を定式化する必要がある。そのために、データ転送に要する時間を、転送量、リンクの幅、ホップ数等の基本パラメータで定式化した。また、この定式化で得られる所用時間が、複数のアプリケーションが並行して独立に実行される場合でも小さい誤差範囲におさまることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ転送路を活用する手法としてのデータ圧縮の有効性を確認でき、また実行モデル確立のためのデータ転送路のモデリングも当初の予定通り進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
コンピュテーションの飛躍的な高性能化と低消費電力化を目的としているが、高性能化に関してはこれまでの研究成果である程度は達成している。低消費電力化に関しても定性的には有効性を示せているが、定量的な有効性を示せるように、評価環境の整備を含めて今後進めていく。
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