本研究は、あらゆるストリーミング動画を視聴検知可能な次世代コンテンツ流通監視技術の確立を目指す研究である。あらゆるストリーミングに対応するためには、近年普及している暗号化トラヒックへの対応が必須である。暗号化はコンテンツの著作権保護に必要な技術であるが、一方でコンテンツの流通状況を隠蔽することにもなり悪用が懸念されている。そこで本研究では、これまでに試みられることがなかった暗号ストリーミングの可監視性に挑戦し、暗号化されたストリーミングにおいても、流通しているトラヒックが何の動画であるかを正確に推測する技術を開発し、ストリーミングコンテンツの悪用防止技術の向上に貢献することを目的としている。 本年度は、昨年度実施した研究成果をベースとし、(1)暗号化通信に特化したトラヒックパターン生成、(2)トラヒックパターンのマッチング、(3)マッチング結果による視聴有無の判定、の3つを統合したプロトタイプの作成を行った。プロトタイプは、視聴トラヒックをサーバ側およびユーザ側にて観測するモジュール、観測されたトラヒック量を視聴検知サーバに送るデータ転送モジュール、サーバ側とユーザ側のトラヒック量を基に生成されたトラヒックパターンを用いたパターンマッチングによりユーザの動画コンテンツ視聴を検出する視聴検知モジュールの3モジュールから構成され、これらの開発を行った。プロトタイプを用いた実験により、暗号化されたストリーミングの視聴検知が高い精度で可能であることを確認した。
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