本研究では、ミリ波レーダーなどの測路デバイスとGPS機能付カーナビゲーションシステムを搭載する走行車両群の時々刻々と変化する走行位置を各車両群が自律的且つリアルタイムに推定するための車車間通信プロトコルを考案し、現実的な車両モビリティの下でその精度を精査し、車両密度とその位置推定精度などの関係を明確にすることを目的としている。 一般に、すべての車両が測路レーダーとカーナビを保持していると仮定できないので、提案プロトコルでは、カーナビやミリ波レーダーを保持している車両の割合を10~100%に変化させ、ミリ波レーダーやカーナビを保持する車両が非保持車両の位置を推定しながら保持車両間で推定位置情報を交換することで、走行車両群全体の移動履歴を高精度且つリアルタイムで推定する方法を考案した。 提案手法を交通流シミュレータと無線ネットワークシミュレータを併用して評価し、その位置測定精度と車両密度、カーナビ・ミリ波レーダーの搭載率などとの関係を明らかにしている。様々な評価実験により、GPSの単独使用と比較して85%程度位置推定精度が向上すること、カーナビやミリ波レーダーを保持している車両の割合が30%程度でも、周辺車両のリアルタイムな位置が1メータ以内の誤差で推定できること(10%でも誤差は1.4メートル以内)などを示すことで、提案手法の有効性を評価している。 提案研究の一部の成果については、ITS関連分野で毎年開催されている伝統的国際会議である74th IEEE Vehiculartechnology Conference(VTC Fall 2011)で発表している。
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